ラグジュアリーライフスタイルホテル「EDITION」とは
東京エディション虎ノ門・東京エディション銀座 統括総支配人
クリスティアーノ・リナルディ氏
取材・リクラボ 久保 亮吾 撮影・大崎 聡
マリオット・インターナショナルとイアン・シュレーガー氏のコラボレーションによって誕生したホテル「エディション(EDITION)」。そのエディションが日本に初上陸する。「東京エディション虎ノ門」(2020年6月開業)と「東京エディション銀座」(2021年開業)の2軒である。最高級グレードの“ラグジュアリーライフスタイルホテル”とはいったいどのようなホテルなのか。多くの日本人がまだ知らないこのブランドについてクリスティアーノ・リナルディ総支配人(General manager, Cristiano Rinaldi)に話を聞いた。
今日の質問はシンプルです。つまり「What is the EDITION ?」ということです。イアン・シュレーガー氏とマリオットとのコラボレーションによって誕生したブランドということで有名ですが、日本人はまだこのブランドをよく知りません。この新しいホテルについて教えてください。
エディションは私たちマリオットグループとしてはかなり新しいブランドです。現在はニューヨークのマディソンパークとタイムズスクエア、ロンドン、マイアミビーチ、バルセロナ、中国の上海、三亜、アブダビ、トルコのボドルム、そしてウェストハリウッドでこのブランドを展開しており、2020年内にローマ、ドバイ、レイキャビク、そして東京での開業が予定されています。それぞれのホテルが建つ土地と時間に合わせた最高の食事、エンターテインメント、サービス、そしてアメニティを提供することでゲストを最高に楽しませることができる大変に個性的なブランドであると自信を持っています。アメニティ1つをとっても各ホテルが最高のブランドと提携していて、驚きを与えています。
イアン・シュレーガー氏は40年以上前に伝説的なナイトクラブ「スタジオ54」を立ち上げ、次のステップとしてブティックホテルというジャンルの生みの親たる存在となりました。その彼が個人のレベルではなく大きなスケールでホテルビジネスをやりたいと考えたとき、マリオットをベストパートナーとして選んだのです。彼は、マリオットが単に5大陸に多数のホテルを展開している世界最大のホテルグループであるということだけでなく、我々の持つノウハウやビジネスに用いるフレームワークを評価していると聞いています。
ブランド的には近年急増している“ライフスタイルホテル”に位置付けられますか?
これまで、ホテル業界には従来のラグジュアリーホテルと斬新的なライフスタイルの間を行くようなブランドが見受けられませんでした。エディションはラグジュアリーでありながら、アート、デザイン、ミュージックなどに感度の高いゲストを満足させるホテルです。
実は、エディションは開業直前にならないと詳細な情報を公開しないという文化があるのです。現段階でオープンにできない情報も多くてすみません。
久保さんも使っていらっしゃる、とある会社のスマートフォンがまさにその良い例ですが、全貌を明らかにするまで意図的に詳細を開示しないことによって興味を掻き立てるという発表の仕方をとる製品や作品があります。そうすることで、製品や作品に対する話題そして期待値がどんどん高まっていくのです。広報担当者がステージに上がり単にプレスリリースを読むのではなく、イベント全体をその製品や作品の周辺から準備することによって、全ての人が何か重大な発表があるに違いないと注意を払うようになるのです。エディションホテルもこれと同じ手法を取ります。
ただ、情報と言いますか、これまで世界のエディションの実績でお話しすれば、FBパートナーとの提携によりダイニング・エクスぺリンスについては相当なご期待に応えられる自信があると申し上げておきましょう。いずれのエディションでも、食の分野についてはミシュランガイドで星を獲得している、ジャン-ジョルジュ・ヴォンゲリスティン氏、ジェイソン・アサートン氏、トム・エイケンス氏といった世界的に成功を収めているシェフが担っており、ホテルは大きな成功を収めています。
東京は世界のフーディが集まる場所。彼らの期待に応えるレストランを私たちもご提供しますよ。
今後も世界でエディションは増えていくのですか。
ミラノ、マドリッド、シンガポール、クアラルンプール、ラスベガスなどでプロジェクトが予定されています。急速にこのホテルは増えていきます。
そして、東京は我々にとって実に重要なエリアです。1つの都市に2つのエディションを開業するケースはニューヨークに次いでのこととなります。私は13年前に東京に来ましたが、この街は大変に活気があり、常にエキサイティングで進化し続けている。ここには多くのベストホテル、ベストレストランがあります。私たちが挑戦する場所として素晴らしい都市だと感じています。
銀座と虎ノ門は少し街の顔が違うことは認識しています。しかし、どちらにも我々のブランドはマッチするでしょう。
先に開業する東京エディション虎ノ門(The Tokyo EDITION, Toranomon)は森トラストが虎ノ門に新たに誕生させる「東京ワールドゲート」に入居します。この東京ワールドゲートはビジネス・交流拠点の創造を目指し、約16,210.61 m2 の豊かな緑地空間とともに、隈研吾氏デザ インによるスタイリッシュなエントランス、クリエイティブラウンジ、ジャパンブランドの発信拠点などを備え、エリアを代表する大型複合開発の一つとして期待が寄せられています。ここに我々の「エディション」 が加わることで、新たな時代の洗練されたワークスタイル、ライフスタイルを創造し、トレンドの発信拠点を担うことを目指しているのです。
そして東京エディション銀座(The Tokyo EDITION, Ginza)は銀座二丁目エリアに誕生します。言うまでもなく高級ファッション・ハイジュエリーブランドがひしめく街で、ここに隈研吾氏がデザインした印象的な建物が建つのです。こちらは周辺の世界的ハイブランドの顧客層とも親和性が高いホテルとなるでしょう。
さて、欲しい人材は? 他のマリオットと同じようにエディションでもスタッフのことを「アソシエート」と呼びますか?
実はエディションでは「エンプロイー(従業員)」と呼びます。これには理由があります。イアン・シュレーガー氏にはホテルの中の物の呼称をシンプルに分かりやすくしようという想いがありました。つまり、ゲストから見た時に自然な姿であるようにしたかったのです。例えば私たちホテルのプロは「インルーム・ダイニング」と言ったりしますが、ゲストにとっては「ルーム・サービス」が自然ですよね。同様に「ロス・プリベンション」も「セキュリティ」のことですよね。すべてゲストにとって自然な、シンプルな呼称にしているのでスタッフは「エンプロイー」です。
私たちのエンプロイーには、エデションというホテルのブランドカラーに合った人材を求めます。このブランドは間違いなくホスピタリティ産業に新風を吹き込みます。この新しいブランドに共感していただける方に来てほしいです。アートやデザイン、さまざまなクリエイティブに興味のある方はもちろんなのですが、もしかしたら、「ホスピタリティの世界で働くことに興味はあるが、今あるホテルたちは自分には少し合わないな」と思っているくらいの方がマッチするかもしれません。必ずしも経験は必要ありません。教育プログラムは整っています。
「Ethos」というものについて教えてください。
Ethosは我々がもっとも大切にすることをまとめたカードで、社内では通称「ブラックカード」と呼んでいるものです。エディションはゲストの人生に新しくユニークでオリジナルな体験をもたらすということ。このブランドに心から魅了されて理想に個人的にコミットした熱意あふれるスタッフがホテル体験に新風を吹き込むということ。そして、真のデザインと優雅で洗練され、パーソナライズされたサービスに専念するということが書かれています。
エンプロイーは、このEthosの内容を覚え私の前ですべてを暗唱してはじめてブラックカードを手にすることができます。詳細にはゲストへの接し方、与えるべき環境などが書かれており、ゲストがチェックアウトした後も気分を高揚させ続け、五感を刺激し、長く心に残る記憶を創るための行動指針が書かれています。
最後に開業に向けてGMの意気込みを一言。
私はイタリア人なので一言では言い切れないんですよ(笑)。
私はこれまでブルガリやザ・リッツカールトン、そしてエディションなど、実に35あまりのホテルの開業に関わってきました。しかし、今回の開業は特別なものになるでしょう。エディションというかつてないブランド、そして東京というエキサイティングな街。この場所でこのホテルを開業できることは大変に特別なことです。仲間になっていただける方々には、自分がこのホテルの一員であったことを生涯誇れるはずです。ぜひ、一緒にやりましょう。
東京エディション虎ノ門の開業スタッフに応募される方はこちらから
アーカイブ